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中澤 サリさん
名前 中澤 サリさん
滞在都市 アメリカ合衆国 カンザス州 ヘストン
期間 2年間:2018年8月~2020年5月(学生)
学校 Hesston College

なぜ大学留学に行こうと思いましたか?

中学で初めて英語を学び始めてから、なんとなく英語が好きで海外に行ってみたいという気持ちがあり、高校一年生の夏休みに一人で一か月間カナダのバンクーバーに行ったのをきっかけに英語を本気でやると決めました。英語に没頭していた最中、進路を意識するようになり、日本の大学の国際系の学部に行こうかと考えていました。しかし、その時通っていた高校の卒業生の先輩でアメリカの大学に進学した人の話を聞く機会があり、それが大学留学を決める大きなきっかけになりました。それまでの18年間をずっと日本で過ごしてきて、行ったことのない場所で自分の環境をゼロから作るということに挑戦をしてみたいという気持ちでした。ワーキングホリデーや語学学校の留学等も考えましたが、大学で学べるという環境への憧れもあったので大学留学にしました。

その国、都市や学部などに決めた理由は何ですか?

国に関してこだわりはありませんでしたが、アメリカの大学であれば入学条件が比較的低く設定され、入りやすいためアメリカに決めました。都市に関してもあまりこだわりはありませんでしたが、なるべく大都市を避けて探していました。というのも、大学で学ぶということが最優先であったため、娯楽施設等が多いところだと勉強の邪魔になってしまうかもという懸念があり、勉強に集中できる環境作りのために静かな都市を選びました。学部に関しては、留学生は専攻を選ばず広く学ぶ一般教養が人気でしたが、せっかくなので何か一つ私の得意な分野を作れたらと思い、ビジネス専攻そして副専攻を心理学で入学しました。

留学に行く前、一番不安だったことは何ですか?

もちろん自分の英語力に関して多少不安はありましたが、大きな不安はあまり感じていませんでした。

留学に行く前にどんな準備をされていましたか?

英語の勉強は常にしていて、取れそうな英語系の資格は定期的に受けていました。あとは、通っていた高校のネイティブの先生にエッセイの書き方を教えてもらったり、英語のラジオを毎日聞いたりしていました。

留学前にしておけばよかったことは何ですか?

英語のリスニング力を上げるための勉強をもっとしておけばよかったと思いました。渡航してすぐ、自分の英語力のなさよりは、リスニング力のなさに痛感したので、もっと映画を見たり、ラジオを聴いたりしておけばよかったと思いました。
あともう一つは、学校選びです。私が選んだ学校を後悔していませんが、留学前に自分にはどれほど選択肢があるのかを多く知れば知るほど良いと思います。今思い返すと、留学前の自分には選べる選択肢がもっとあったと感じます。留学前の情報集めが、留学を成功させるための大切なカギになるので、もう少し調べておけばよかったと後悔しています。
また、いくつか卒業後の進路についてもう少し考えておけばよかったと思いました。不確実でも良いので卒業後の選択肢を一つでも多くする為に、卒業後の進路を考えるようにしておくと良いなと思います。

留学にかかった費用はどれくらいですか?

2年間で総額、約64,090ドルでした。1年目の学費は$23,524でしたが、2年目は成績関連と音楽の部門で奨学金をいただくことができたので、1年目の学費の3分の2以下に抑えることが可能でした。奨学金をもらえるチャンスが留学生にもあったので、勉学に励む一つのモチベーションに繋がりました。また、授業料のほかに食事プランがついているのか自炊するかによっても大きく左右されるので、十分注意する必要があると思います。

どの大学に通われましたか?なぜこの大学を選びましたか?

私が通ったのはアメリカ、カンザス州にあるHesston Collegeという大学でした。大学選びの際は、とにかく小規模でかつ、手厚いサポートを受けることができる大学というのが前提でした。英語力にはあまり自信がなかった為、先生と生徒の距離が近い大学に行こうと決めていて、かつ勉強に集中できる静かな場所にある大学が理想でした。Hesston Collegeはアメリカ全土でも珍しい私立のキリスト教の2年制大学であり、基本的にアメリカ人を含む全生徒が寮に滞在します。全生徒は400人以下で施設設備も整っていたため、この大学を見つけた際に、ここしかない!と思い決めました。

専攻は何ですか?

ビジネス専攻で、副専攻を心理学として入学しました。アメリカでは専攻を変えることが比較的容易にできるため、深く専攻に関して考えずに自分の興味で決めました。大学に入学したばかりのオリエンテーションの時点で専攻を変える生徒がいたり、専攻を決めずに一般教養で始めている生徒も多くいました。

大学ではどのような授業を受けましたか?

ビジネスを専攻していたため、経済学や数学、科学の授業を多めにとる必要がありましたが、数字は世界共通であるため慣れてしまえば大きな問題はなかったです。難しかったのは世界史、アメリカ史、宗教の授業等、暗記することが多い授業でした。専門的な用語が多く、覚えるのに非常に苦戦しました。

日本の学校や大学と違うと感じた点はありますか?

違うところばかりでついていくのにやっとでした。超小規模校だったからか、先生や校長先生のことも呼び捨てで名前を呼びます。私にとっては違和感でしかありませんでしたが、慣れてしまえば、そちらのほうが心地よく先生ともより近く感じました。ただ、私がそれまで通っていた日本の学校から出されていた宿題の量とは比べ物にならないほどの宿題の量が毎回出され、図書館にこもる日々でした。図書館は夜中の12時まで開いており、多くの生徒が夜まで宿題に追われているようでしたが、先生も生徒も熱心に取り組んでいたので、非常に良い環境で学ぶことができました。また、授業の雰囲気は全く違います。日本にいたときにアメリカの授業は生徒が沢山話すという話は聞いていましたが、全くその通りで、グループレッスンや授業中の生徒の発言によって授業が成り立っているような雰囲気があり、とにかく発言するタイミングを探すのに必死でした。また、プレゼンテーションがとても多く、私は人前に立つことに関して抵抗はありませんでしたが、他の生徒は慣れたように上手にやっていて、ついていくのに大変でした。しかしながら授業中に居眠りをするような暇もなく、非常に質の高い授業ばかりでしたので良かったと思います。

大学で英語の授業(ESL)は取りましたか?

私は入学前に取得していた英語能力試験のスコアが条件を満たしていたため、ESLはとっていませんでした。しかし留学生でとっている人は多く、大学の授業と並行して英語の授業を受けられるシステムは、英語力が足りなくても手っ取り早くアメリカ大学留学をかなえるという点で、とても良いシステムだと思いました。

平日の1日のスケジュールはどんな感じでしたか?

5:30 起床 走って5分以内にあるジムで運動 シャワー 支度
7:30 朝食 食堂は朝の7:30から朝食が始まるのですぐに行きます
9:00 授業 授業は一番早くて8:00から始まります
15:00 帰宅 授業は一番遅くて17:30までになりますが夜間授業も開講しています
17:30 宿題&休憩 友達の部屋に行ったり散歩に行ったりします
18:30 夕食 夕食の配当時間は17:30~19:00です
21:30 勉強、宿題
22:00 就寝

日によっても異なりますが、食堂の時間が決まっているので、スケジュールは大体こんな感じです。金曜日の夜や土日はイベントに参加したり、ショッピングに行ったり様々です。

学校の設備はいかがでしたか?(図書館、カフェテリア、など)

Hesston Collegeはカンザスの郊外にあり、周辺地域にも娯楽施設が少ないことから、大学内で快適に過ごせるための施設がそろっています。体育館は予約すればいつでも利用でき、サッカーやバスケ、フリスビー等をして遊べます。大学の敷地内にサンドバレーボール用の砂場が作られており、天気が良い日には生徒が集まって遊んでいました。ピアノ室や音楽室はいつでも利用できます。図書館は朝の8時から夜中の12時まで利用でき、自習室やグループで使える部屋もあります。食堂(カフェテリア)は8時から19時まで空いており、朝昼晩の3食は決まった時間に出されます。食事が出ていない時間でも飲み物と軽食を無料で食べることができるため、友達と飲み物を飲みながら話をしたり、宿題をすることができます。

その他、学校についてコメントがあればお聞かせください。

Hesston Collegeはイベントが盛んであり、大学内に滞在しながら、様々なイベントに参加することができます。例えば8月には新入生のために先輩や先生方が周辺のツアーをしてくれたり、ミニ運動会なども開催されます。寮では6~9人のグループにわかれて遠足をしたり、毎週集まってみんなの状況を確認しあったりします。カルチャーフェアという留学生が出し物をしたりするお祭りもあり、これは大学内の生徒だけでなく近所の人も招いて行われる大イベントになります。ここで日本人の留学生でソーラン節や着物を着て盆踊りを踊ったり、アラジンのホールニューワールドを日本語で歌ったり、焼きそばや唐揚げをつくったりしました。それ以外にも沢山のイベントがあって、大学外に出かけなくても楽しく有意義な時間を過ごすことができました。

現地ではどのような滞在方法を取られましたか?(寮、ホームステイなど)

Hesston Collegeは基本的に国内の生徒を含む全生徒が寮に住むことを必須としていたため、私も寮滞在でした。

滞在先の良かったこと、大変だったことについて教えてください。

学校の寮だったので食堂はすぐ下、図書館や教室までは歩いて2、3分で行くことができ、生活するには近くてとても便利でした。しかし大学の外には小さなコンビニがあるだけで、スーパーに行くには車で片道20分、ショッピングモールにいくには片道1時間ほど車を走らせる必要があったため、ティッシュやシャンプー等の必需品をそろえるのが大変でした。しかし、車を持っていない留学生のために、月に一度スーパーまで送迎をしてくれる日があったため、とても助かりました。それ以外の必需品はオンラインで買っていました。

学校まではどのように通学してましたか?

大学敷地内の寮だったので、移動は基本歩きかスケートボードでした。

食事はどうしてましたか?

寮滞在の場合は1日3食(日曜日のみ1日2食)の食事プランが付いていました。食事はバイキング方式で、ベジタリアンメニューも用意されていました。

現地滞在中に何かトラブルは起こりましたか?

大きなトラブルはありませんでしたが、2つ出来事がありました。
1つは私のルームメイトが体調不良で学校を辞めてしまったことです。これによって1人部屋になりましたが、とても寂しかったです。
2つ目は、私自身が体調不良になり、一度救急車で搬送、計4回病院に通いました。扁桃腺にかかり、治ってまたなってを3回程繰り返し、その間は体調不良の中休んだ分の宿題も終わらせる必要があり、睡眠時間もあまり確保できず疲労もあり、倒れてしまって気付いた時には救急車の中にいました。しかし扁桃腺も完全に治り授業とのバランスも取れるようになり、大きな問題にはなりませんでした。

留学で得たものはありますか?留学を終えて変わった・成長したと思うことはありますか?

留学期間の思い出はとても濃いものになり、一生忘れられないかけがえのないものになりました。留学を通じて変わったことや成長できたと思うことを言葉でくくるのは難しいですが、打たれ強いタフな人間に成長できたと思います。自分に必要な荷物をすべてスーツケースに詰め込み、家族と別れ一人で飛行機に乗り大学に辿り着いたとき、これまでに感じたことのない不安と希望の入り混じった今までにないような感覚に陥り、何があっても進み続けなければならないというマインドを常に作り続ける必要があると覚悟しました。慣れない食事や大量の宿題、英語での授業についていくのに苦労しましたが、それらを一つ一つこなしていくことによって、自分に自信が持てるようになりました。また、受容性も大きく成長したと思います。決まった時間に神様にお祈りする人や、シャワーは週に一回だけの人、植物性のものしか口にしない人など、私がこれまでに会ったことのない人や全く異なった価値観に触れることばかりで、いわゆる”カルチャーショック”のようなものを感じることは多かったですが、それを受け入れる能力を高めることができたと思います。留学中は”非常識が常識”であり、自分の凝り固まった考えや価値観などについて考えさせる機会が多くあり、良い経験になりました。

大学留学して良かったことは何ですか?

留学中に経験した良いこと、悪いことも全て今思い返すと良い思い出だと思えます。ただ、大学留学の大きな目的であった英語力の向上と、友達を作るということが達成できたためとても良かったです。卒業後も連絡を取ったり、手紙を送りあったりして英語を忘れてはいけない環境が日本に帰ってきてもあるということがとても嬉しいです。また現地でできた友達が日本に来る為の計画を練って貯金をしてくれているので、日本の良さを伝えるためにも日本という国を外面的観点から見つめないといけません。また、留学が大学留学であることで、実際にアメリカ人と共に学ぶという環境に入れることがとても貴重な経験になりました。ワーキングホリデーや語学学校に行くのとはまた違った、”リアル”なアメリカの一部に深く入れることができたのではないかと思います。

留学中につらかったことや困ったことはありましたか?

何よりもつらかったのは勉強です。授業についていくのと宿題をこなすことは卒業直前になっても慣れるということはなく全力で取り組まないとすぐ遅れてしまうという感じでした。しかし先生や友達が親身に教えてくれたので乗り越えられたと思います。困ったことは、スーパーが車で行くしか手段がなかったことです。留学生は車を持っていない人がほとんどのため、友達に頼むか友達に車を借りるかオンラインショッピングをしていました。ロサンゼルスやニューヨークの都市に行けばタクシー、ウーバー、バス、電車等がありますがHesstonにはそのような公共交通機関がありません。そのため、田舎に留学に行く人はその点を十分理解しておく必要があると思います。あとは、携帯をSIMカードを買わずに日本から持ち込んだものをずっと使っていたため、1つの接続会社の電波かWi-Fiの通っているところでしか携帯の接続ができなかったことです。また、日本の電話番号しか持っていなかったのですが、携帯番号を聞かれる場面が非常に多かったためアメリカで携帯電話を買ったほうが何かと便利だと思います。あと、留学生は特に寮での食事が合わないと言っている人が多く、母国から大量の食事を持ち込む人や、私は炊飯器を購入し時々お米を炊いたりしていました。周りにレストランもあまりなかったので、留学生は大変困っている人が多かった印象があります。

留学中にしていてよかったと感じたことを教えてください。

私は音楽をずっとやっていて、ピアノとコーラスに入っていました。ピアノは小さいころから習っていて、留学先でも趣味として続けれたらと思いピアノのレッスンを取っていました。そのレッスンを取っている人は発表会で演奏をする必要があり、その後学校外の教会や周辺の老人ホームでピアノ演奏のオファーをいただいたり、様々なイベントに伴奏者や演奏者として招かれるようになりました。2年目にはビジネス専攻でしたが音楽の部門で奨学金をいただくこともでき、自分の続けてきた趣味がこのような形で活躍するチャンスになり良かったと思いました。それらを通じて音楽専攻の生徒や先生方と仲良くなり他の楽器を演奏する人やコーラスの人と組んでイベントに参加するなど、別のコミュニティを作ることができました。他の留学生を見ていても、スポーツクラブやチームに参加している留学生は多少忙しくなりますが、友達も多く充実した留学生活を送っているように見えたので、上手でなくても何か自分のやっていたスポーツや趣味に関連した団体に所属することを強くお勧めします。

今後の目標は?今後もまた海外で勉強したい、働いてみたい、と思いますか?

コロナの影響もあり留学生活が2年間で終わってしまい、大学でなくてももう少し海外で生活をしたいという気持ちは強くあります。

これから大学留学をする方に一言お願いします。

私が大学留学をすると決めたとき、周りは日本の大学の受験のムードが漂っており一人だけ違う道を進むという点で不安を感じていました。しかし今となっては大学留学をしたことが私の誇りであり、人生の一つの大きなターニングポイントになりました。たとえ失敗に終わっても、違う世界を知らずに終わるよりもずっと良い経験になります。大学留学は決して簡単なことではありませんが挑戦することによってより濃い人生になるので、自信をもって大学留学を楽しんで下さい。


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